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標高1030m。
翁杉から30分程度。若干スケジュール的には
押してきたようで、疲労の色は隠せない。もののけ姫の森でも
書いたが、ウィルソン株の美しさもそれに劣らない、神がかり的な
高貴な雰囲気が漂う。目に飛び込んでくるような、
一瞬で記憶に刻まれる「絵葉書」のような美しさだ。
幸い、私たちが到着した時は誰も登山客がおらず、
ひっそりとした感じだった。そのせいかここまでの
疲労も合間って恐々とした雰囲気も漂う。
内部から天井を見上げる。
ウィルソン株の
内部には祠が祀ってあり、少量の水も流れている。なんとも
神秘的な趣だが、その昔、山の木こり達が崇拝し続けてきた
老木は、ごつごつとした木肌と薄暗い内部で、
とても感動的とはいえないが、上部に見える周囲の木立が
陽射に照らされすくすくと天高く聳える。
ウィルソン株が伐採されたか、風災で倒れたかは定かでないが、
もし健在であったとしたならば、このあたりの
生殖分布も少し変化していたのだろう。
兎に角、日陰の小杉は
短命の一途をたどる弱肉強食の屋久杉の生態系で、
ウィルソン株の周囲に与える陽射しは計り知れるものでは
無い。
それを知ってか知らずか、ウィルソン株の周囲には
すくすくと聳える小杉たちが老木を労うかのように
一際ウィルソン株を際立たせているのだ。
しばらく休息をとった後、
失礼します。と黙礼し、ウィルソン株を後にした。
内部にある祠。神秘的な雰囲気が漂う。
内部の脇には染み出した湧き水が流れる。
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宮之浦岳 屋久島・宮之浦岳ヘッドロック宮之浦岳ヘッドロック。タイトルにした一枚のスナップだ。ちょうどこの辺りから小憎たらしい思いに駆られる。このやろー、俺たちを苦しめやがってー、、、と軽い感じだったが、達成感の裏返しで、心は充実して、なかば安堵感も漂っている。今思えば、「まだまだ気をゆるしてはイカン!」と自分に言いたいところだが、ここから悪夢の復路を辿るとは知る由もなかったのだ。
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