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縄文杉(標高1312m)が近くなると、遊歩道も整備され、木道や
階段などで人の行き交いにも配慮されているようだ。
それでも、ピーク時は何分も足止めをくらい、順番を待って
縄文杉展望台へと足を進める。
幸い私たちの到着した
時間はすっかり縄文杉見物の人だかりはなく、何か物静かな
感じだ。縄文杉展望台までの最後の階段を一段一段登っていく。
そしてその瞬間は訪れた。悠然と佇む縄文杉。辺りは静寂に
つつまれ、神々しいまでのオーラが漂う。確説としても
語り継がれる7200年の息遣いが、閑居な佇まいに木霊する。
ぼんやりと物思いにふける人や展望台の隅に腰掛けて同じ空気感を
共有する人、それぞれだが皆静かだ。騒ぎ立てる人は誰もいない。
夕暮れ時の縄文杉は時が静かに流れていく。
ここに来るまで私たちにとって縄文杉は大きな目標であり、
夢だったはずだが、なぜか気持ちの高揚はなかった。
疲労困憊した身体にそんな余裕は無かったのかもしれないが、
なぜか浮かれない気持ちだった。
ここまで、6時間弱。
早朝より振り返れば約12時間かけてたどり着いた道のりは
余りにも艱難辛苦に等しく辛い一日となった。また、
明朝より9時間超の縦走が控えていると思うと、脱力した
身体に鞭打つ思いで、とても浮かれていられなかったのだ。
■写真
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宮之浦港より 神々しいまでの屋久島を遠望する。屋久島には1000mを超える山が40もあり、洋上のアルプスとも言われています。 今回は単なる観光とは一線を画し、縦走ということで、 気持ちも引き締まります。
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