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外国人のカップルと別れて少し登ったところでちょっとした
事件が勃発する。摂るものも摂らず、水分ばかり吸収していたせいか、
どうも腹具合が思わしくないようで催した。名誉の為にここは小として
おきたいが、山歩きで便意を催すことは別に恥でもない。後始末さえ
きちんとマナーを守れば許されざる行為でもないはずだ。
ただ事件とはポケットに入れておいた買ったばかりの音楽プレーヤー
をその時に落っことしてしまったのだ。落としたらいけないものまで
落としてしまった。とっさに拾い上げたが、見事命中してしまった。
きっと山の神に叱られたのだろう。今思えば
笑い話となりましたが、、、。
山頂まであと100m付近まで登る。上を見たら辛くなるので、できるだけ地面を
見ながら登っていく。自ら選んだ事なのに、まるで試練を与えられているようだ。
焼野三叉路から30分の予定だったが、何のことはない1時間近くかかって
しまった。それだけ険しかったのだろう。やっとの思いで宮之浦岳山頂(標高1936m)に着いた。
振り返れば、昨日の縄文杉との出会いも神秘的で印象に残ったが、それにもまして
宮之浦岳を征服した達成感は感慨深いものになった。紛れも無く今回の
屋久島縦走の主役がここにあると実感した瞬間だ。
山頂から永田岳方面を眺める。
すっかり疲れた様子。
宮之浦岳ヘッドロック。タイトルにした一枚のスナップだ。
ちょうどこの辺りから小憎たらしい思いに駆られる。このやろー、
俺たちを苦しめやがってー、、、と軽い感じだったが、達成感の裏返しで、
心は充実して、なかば安堵感も漂っている。今思えば、
「まだまだ気をゆるしてはイカン!」と自分に言いたいところだが、
ここから悪夢の復路を辿るとは知る由もなかったのだ。
しばし山頂からの自然の芸術を堪能。屋久島の頂から一望千里の
パノラマを見渡す景色は最美としか言いようがない。それからしばらくして
復路についた。時間も少し押しているので、挽回するぞ!
意気揚々と気勢を上げ、宮之浦岳山頂を後にする。
「ここからは降りの連続で楽勝だー、、、」実はこれが悪夢の
始まりであった。
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大株歩道入口 楠川分かれから80分程度で標高910m、大株歩道入口へ到着。ここからのルートは縄文杉登山で最も過酷な道のりとなるため、皆さん必ずといって休憩をとる。トイレや水場もあるため一息つく人が多い。私たちも類にもれず、小休止だ。背中のザックを肩から降ろして腰掛ける。全身の疲労が湧いて出てくるようだ。
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