屋久島山の心構え

屋久島の登山と気温の関係

標高が高くなるにつれて気温が下がることは登山する人でなくても知っていることですが、標高が100m高くなるにつれて気温が何度下がるかで表される気温減率についてはあまり知られていません。測定された場所により若干の変動はありますが、登山する上で気温を推定するのに役立ちます。荒川ダム(670m)における観測値から推定した場合、100m標高が高くなると0.66度気温が下降します。この値から推測すると、最高峰の宮之浦岳と海岸域の気温さは頂上で14度も気温が低くなります。

 

屋久島の動植物を大切に

屋久島は植物の宝庫で、屋久島固有の植物や高山植物もたくさんあります。ほとんどの地域が国有林で、かつ国立公園区域であり、植物の採取は禁止されています。めずらしい植物や綺麗な植物があっても、目で見て楽しむか写真に撮るだけにしましょう。また、屋久島ではヤクジカやヤクザルが里地から山頂部まで生息しており、登山道でもよく出会いますが、これらの野生動物に危害を加えたり餌を与えたりしてはいけません。

 

キャンプは指定された場所で

屋久島では指定された場所以外では勝手にテントは張れません。テントを張ってキャンプが出来るのは、一湊、栗生、小島のキャンプ場だけです。屋久島の山岳部は緊急避難時のキャンプを除いて、山小屋を利用することになっています。山小屋やトイレ等の施設は登山者の利便を図る前に無秩序な利用を避けて森林環境を保全するために設置されているものです。

 

ゴミは持ち帰りましょう

ゴミを持ち帰るのは今では常識になっています。捨てたり焼いたりせず、指定された場所まで持ち帰りましょう。

 

外部の植物を持ち込まない

世界自然遺産地域に入る場合は森林生態系を壊さないために衣服や靴に植物の種子がついていないかどうかチェックするくらいの気持ちが必要です。特にミカンやブドウなどの果物を食べた場合は種子をうっかり捨てないよう気をつけましょう。

 

決められた登山道を歩こう

主要な登山道のほとんどが、森林生態系保護地域(保護林)や国立公園の特別地域であり、自然環境を保全している地域ですので、山道から外れ植物を踏み荒らすことがないようにしましょう。また、登山道を外れると遭難の危険があります。毎年登山道から外れたことによる遭難者(死者や行方不明者)がでています。山岳部で道に迷ったときは決して谷に降りたらいけません。谷にはいたる所に滝があり、危険ですので尾根の方に登って登山道を探すことが助かる秘訣です。

 

登山届けを出そう

宮之浦港観光案内所、屋久島空港、白谷雲水峡、荒川林道入口、警察署、町役場などに登山届けが備えてあります。登山する時は自分自身のために必ず登山届けを出しておきましょう。

 

日帰り登山でも十分な装備を

屋久島の山岳部は険しく、天候が急変しやすいので、日帰り登山でも万が一のことを考えて十分な装備をしておく必要があります。登山道の載っている地図はもちろんのこと、雨具、懐中電灯、非常食、救急薬品(小分けして必要最小限度)などを持参しましょう。