タ・ケウ
タ・ケウ
未完正ゆえにその歴史的価値が非常に高いタ・ケウ。この寺院はジャヤヴアルマン五世によって11世紀初頭に造営が始められたが、王の突然の死によって石材を積み上げた状態でそのままに放置されている。
特に頂上部のある祠堂などはごつごつとした状態で、明らかに骨組みといった感がある。また、通常描かれるレリーフなどが一切なく、そのことから、クメール建築の工程が読み取れる。
「クリスタルの古老」という意味を持つタ・ケウ寺院は、アンコール・ワット造営の試金石とされ、後のアンコールワットの礎となった寺院でもある。そのためアンコールワットに見られる回廊などもこのタ・ケウ寺院には残っている。
最後まで完成されていれば、ピラミッド式寺院のなかでも屈指の遺跡となっていたであろう寺院は、回廊の外観部に偽窓、内部に真の窓、光が差し込まない連子窓等、堅苦しい雰囲気が漂うが、のちに完成されるアンコールワットにその全てが完結され、未完の役目を果たすのである。