バイヨンのレリーフ
バイヨンのレリーフ
バイヨンの第一回廊のレリーフが見所で、バイヨンのレリーフはアンコールワットの宗教的影響を強く受けたものとは異なり、日常生活を切り取ったものや暮らしぶりが描かれている。
また、チャンパ軍との戦いのシーンでも、よく見ると後方で女性や子供たちが料理をつくったり、運んだりしていて、家族ぐるみで戦争に参加しているようすが如実に描かれている。さらに、建築現場などにおいても、石材を運び加工したものを積み上げる様子などが描かれている。
バイヨンのレリーフはアンコールワットより50年ほど遅れて建造されている。その間はチャンパ軍に一時的に王都を占領されていた時代もあり、未来永劫の平和を望む風潮が人々の間で高まっていたに違いない。
長い間のヒンドウー教支配によりバラモン僧達の権力は増大し、国政に対して大きな発言力を持ち、私腹を肥やす者もいたに違いないだろう。こういった腐敗した社会構造を改革するべく、ジャヤーヴァルマン7世がとった政策こそ、未曾有にある四面仏による「精神性」と、庶民の日常に焦点をあてた「民主化」の2本柱だったのだろう。
しかし、これはあくまでも個人的な主観としてのものであり、それぞれがどの角度で観ていくかで、感じ方も千差万別である。悠久の歴史に触れながら歴史のロマンに思いを馳せたい。