屋久杉の保護

国立公園指定

1964年(昭和39年)18000haの国有林(屋久島国有林の約半分)が国立公園に指定され、従来の霧島国立公園が霧島屋久国立公園となった。
この時点では、禁伐的取扱等厳正に保護を行っている林地は、学術参考保護林、特別天然記念物指定地、国立公園の特別保護区及び第一種特別地域等の6700ha(屋久島国有林の17%)となった。

 

学術参考保護林拡大など
1970年(昭和45年)には、新たに花山・国割岳学術参考保護林等1120haを設定し、保護区域の質的・量的充実を図った。
さらに、翌年の1971年屋久杉鑑賞のための展示林(1974年屋久島自然林養林となる。現在、通称ヤクスギランド及び白谷雲水峡として親しまれている。)を設定し、一般者にもヤクスギ天然林が容易に鑑賞できるようにした。

 

屋久杉保護の拡充
1977年(昭和52年)の施業方針で、これまで皆伐及び択伐等事業実行の大正として位置づけしてきた林分の中に、保護樹帯その他8000haを区画し、屋久杉の保護や風致の維持に努めることとした。さらに1982年(昭和57年)施業方針では、1000年以上の屋久杉を原則として禁伐とした。

 

屋久島の国立公園等保護区域等の拡充
1982年(昭和57年)には瀬切川流域について、国立公園区域の見直しを実施し、特別保護地区や第1種特別地域として3000haを拡大し、屋久杉の保護区を追加するとともに、学術参考保護林として640haを追加指定した。

 

1987年(昭和62年)には、伐採は郡状拓伐(群状に抜き切りする伐採の方法)を行い、更新に当たっては、屋久杉を主体とする天然林施業をより一層推進することとした。

 

屋久島の森林生態系保護地域の設定
告諭林における林業と自然保護との調整という課題に対する森林の保護・管理のあり方について、1988年(昭和63年)「林業と自然保護に関する検討委員会報告」が出され、翌年林野庁長官通達により新しい保護林に体系区分し、再編・拡充されることとなった。これにより1992年(平成4年)屋久島森林生態系保護地域15185haが設定された。

 

屋久島の国土保全林
土砂の流出や崩壊等の山地被害を防ぐために必要な森林、地域の水源となっている森林、防風・防潮等の気象害を防ぐために必要な森林など約2割を国土保全林としている。これらの森林は、針葉樹と広葉樹が混交し、下層木や下草などが生育している層の厚い災害に強い森林となるよう天然林施業を中心に行っている。

 

屋久島の自然維持林
屋久島森林生態系保護地域とその周辺部の森林で4割以上を自然維持林としてる。ほとんどの森林を自然の推移にゆだねることとしているが、一部に人工林が含まれることから育成天然林施業を行っている。

 

森林空間利用林
大川の滝、千尋の滝、田代ヶ浜の3つの風景林を森林空間利用林としている。景観保持など空間利用をたかめるための天然林施業をおこなっている。なお、屋久島自然休養林(白谷雲水峡及びヤクスギランド)は、森林生態系保護地域と重複しているため、自然維持林としている。

 

木材生産林
国土保全林、自然維持林及び森林空間利用林以外の森林を木材生産林としている。木材生産林では生産の目標に応じた8つの生産郡を設け、それぞれの生産目標に沿った施業を行っている。

 

参照:屋久島森林環境保全センター
   「屋久島の森林」