バリ島の伝統芸能

バリ島の伝統芸能
バリ島の伝統芸能
神々と人とを強烈に結びつけるバリ島の伝統芸能。 素朴な風土に育まれた郷土芸能は見所の一つで、バリ島の伝統芸能の多くは、ヒンドウー教の神に挿げる奉納芸能が源となっている。16世紀にジャワ島のマジャパヒト王朝により宮廷文化が一般大衆のものになり、より洗練され、今世紀になって観光客が増加すると、外国人観光客を強く意識したものが次々と創作されていった。

 

バリ島ではこうした芸能を、大きく3つに分けて区別している。そのなかには極めて強い宗教性を有するものと、鑑賞用として盛んになったものまでが混在している。バリ島の伝統芸能にはさまざまな種類があり、独特の文化的伝統を伝えるものとして重要な意義を持っている。

 

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ガムラン
ガムランとはインドネシアの伝統的な打楽器の総称であり、同時に、その音楽そのものをもいう。20世紀前半、北部のシンガラジャ地方で生まれた演奏形態だ。およそ20種類の演奏形態があるとされ、現在、一般的に演奏されているのはゴン・クビャール。バリ舞踊の伴奏音楽として耳にすることが多く、普段耳にすることの多い西洋音楽と大きく違っている。もともとは宗教儀式に欠かせない奉納音楽として発達してきた。

 

ホテルなどで演奏される場合は5〜10人が一般的で、多数の鉄琴型の青銅製打楽器ガンサとゴン(ドラ類)を横に12個並べたレヨンという楽器を使うのが特徴で、一つのメロディーは2つの楽器で構成されて、 隙間を埋めながら演奏するコテカン奏法で奏でられる。 フル編成になると八鼓や竹笛なども入って約15の楽器と25人もの演奏者が必用になる。

 

プグリンガンやワヤン・クリッの伴奏を4〜12人でするグンデル・ワヤン、オダランや火葬式などで演奏されるアンクルン、儀礼の際に村人が太鼓やドラなどを嗚らしながら歩くバラガンジュールBなどがあり、観光客が島内で耳にするガムランは、このほかに16世紀に宮廷所楽として始まったスマルがある。最近は、竹製ガムランのジェゴクも注目を染めている。
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レゴン・クラトン
創作作品が次々と生み出されているのもレゴンの特徴で、最もポピュラーで古典的な演目は、ラッスム王の王女役を務める幼い少女の踊りがみどころのレゴン・ラッスや、2人の女性の踊り手が猿王兄弟の抗争劇を表現するレゴン・ジョボグなど。

 

島内には15種類のレゴンがあるといわれ、バリ舞踊の代表格ともいうべき華麗な踊りは、思わず立ち上って踊りたくなる。19世紀、スカワティエの宮廷(クラトン)で始まった鑑賞用舞踊を総称する。いずれも女性の踊り手によって演じられる。 しなやかな指の動きが美しい。華やかな衣装やアクセサリーにも注目。
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ケチャ
1930年代にバリ島に在住していたドイツ人の芸術家ウオルター・シュピースが、このサンヒャンから踊りの部分を省き、声を強調した新たな舞台スタイルとして確立。寺院の儀式の際に奉納される宗教舞踊のサンヒャンから生まれたものだ。陶酔状態に入った踊り手の動きに合わせ、楽器を使わず人の声でバックミュージックを行ったのが始まり。

 

ケチャの声は、5種類のリズムパターンがさらに2〜3パターンにそれぞれ分かれた複雑な構成のコードに成り、ダンサーの体や手の動きは自然界にあるもの。例えばヤシの木や水、火、風、悪霊のパワーなどを表現している。のちにrラーマーヤナ』などの物語を取り入れ、ストーリー性を持たせたものへとさらに変わっていった。「チャッ、チャッ、チャッ」という声が次第に高まりを見せていく、野性的な雰囲気が魅力的。
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ペンデッ
公演の最初に踊られることが多く、通称「ウエルカムダンス」とも呼ばれる。数名の女性が片手に持った盆から花をまきながら踊るもので、本来降臨した神々を歓迎しもてなす意味を持つ。地方によってはガボールとも呼ばれる。可憐な女性の踊り、ペンデッで五感を刺激する華やかな舞台が繰り広げられる。