屋久島縦走-宮之浦岳ヘッドロック
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焼野三叉路
平石から約30分。焼野三叉路(標高1780m)に到着。宮之浦岳と永田岳への分岐点になるところだ。ここから宮之浦岳山頂までが30分。永田岳山頂まで50分かかる。宮之浦岳アタックの最終段階に入ってきた。目の前には宮之浦岳が聳え立ち巍然屹立と私たちを待ち構えている。怯めない、挫けないと叱咤激励して一歩一歩足を進めていく。


屋久島縦走-淀川登山口
屋久島地図


いくつものピークを乗り越えて来た私たちも、 迫り来る斜面にとうとう根負けした。ここまで気合で持ちこたえて きたがついに気合エンジン終了。もう怒りエンジンでも気合 エンジンでも前に進めん。最終バスの時刻には何とか間に あいそうだが、気力も体力も尽き果てた。そんな時、聳えるように 立ちはだかる目の前の斜面を見ながら二人はどうしたと思いますか、、、?

「泣きました」ハイ、泣きました。もう泣くしかない、、、。 ハーンアーンとすすり泣き、後ろからも息子のすすり泣く声が。 ウーウーと。振り返ると泣きながら顔をくしゃくしゃにしながら 懸命に歩く息子の姿をみてまたもらい泣きした。わーんわーんと 泣きながら二人で歩いて行く。そうこうしていく内に残り1kmを切った。

泣きのエンジンが全開だ。無我夢中で泣きながら歩いた。 歩いて歩いていくうちに一人の老練な登山者とすれ違った。 おそらく遠くから二人の泣き声を聞いていらっしゃたのだろう。 息子に登山口はもうすぐですよ!と声をかけていただいた。 思わず目を合わせた親子は、この言葉にどんなに励まされた ことだろうか。心から嬉しかった。そして、なによりもこの 二日間の屋久島縦走が完結する瞬間がまじかに迫っている期待、 そして達成感が待ち遠しかった。

気力、体力、感情、全て出し切ったせいだろうかやけに身体が軽い。 そして気持ちがいい。二人のペースも自然と速くなっていった。 そして最後のピークを登りきり、ゆるやかな降りの先にアスファルトの 道路が見えてきた。それは、普段よく見る普通の車道ではなく、 とても神々しいものであり、ゴールを告げる場面でもあった。 思わずやったーと叫びあい、二人で抱き合って喜んだ。 ヤッター着いた。がんばったー!、がんばったー!。抱き合いながら、 また自然と涙が溢れてきた。やりきったという達成感と幸福感で心は 一杯になった。







紀元杉バス亭
淀川登山口から紀元杉バス亭までアスファルトの道を歩く。もう辛いピークはやってこない。心も軽やかだ。淀川登山口で出会った若者たちはタクシーで通り越していく。親指を突き上げヒッチハイカーのものまねをして別れを告げる。踏破した幸福感からかジョークの切れも小気味良い。いや、実は乗せて欲しかったというのもまんざらではない。