屋久島縦走-宮之浦岳ヘッドロック
 HOME
---The 屋久島縦走---
» 屋久島縦走はじめに
» 準備その1基礎体力
» 準備その2登山用具
» 準備その3食料
» 準備その4その他
 
» 宮之浦港着
» 登山用具レンタル
屋久島縦走 1日目
» 白谷雲水峡
» 飛流おとし
» さつき吊橋
» 三叉路
» 白谷小屋
» もののけ姫の森
» 辻峠
» 辻の岩屋
» 楠川分かれ
» 大株歩道入口
» 翁杉
» ウィルソン株
» 大王杉
» 夫婦杉
» 縄文杉
» 高塚小屋
屋久島縦走 2日目
» 新高塚小屋
» 第一展望所
» 第二展望所
» 坊主岩
» 平石岩屋
» 平石
» 焼野三叉路
» 宮之浦岳
» 栗生岳
» 投石平
» 黒味岳分岐
» 花之江河
» 小花之江河
» 展望所
» 淀川小屋
» 淀川登山口
» 紀元杉バス亭
リンクサイト
» 屋久島-WEB





第二展望所
第一展望所から25分程度登ると標高1640mの第二展望所に到着。展望台とはいえこれといった設備などはない。一般に見晴らしがよい場所くらいの感じです。ここまでの道は険しく、背後には斜面が切り立っていて足元には十分注意して歩きます。また、強風に煽られて滑落するケースも考えられますので注意が必要です。


屋久島縦走-高塚小屋
屋久島地図


縄文杉より5分程登ったところに高塚小屋(標高1370m)がある。 今夜のキャンプ地となるところだ。高塚小屋には 数人が寝泊りできるスペースがあるが、すでに満員御礼 で、とても入り込めるスペースはなかった。ある意味、 想定してた通りだったが、見るからに泊まりたくなる 雰囲気でもない。持参したテントをさっそく設営 することにした。

小屋周囲にはテントを張るために滑らかに整地された ところが数箇所あり、私たちが到着した時には既に 先客が幾つものテントを設置していた。 幸い一番奥の場所が一つだけ空いていたため そこに設置することにした。

無事設営を終え食事の準備に取り掛かる。待ちに待った はずのカレーだった。が、まず近くに水場がない。 高塚小屋には水場がなく、縄文杉のさらに下まで 汲みに行く事になる。水場までは往復で10分くらいの ところだが、疲れた身体にはとても遠くに感じてしまう。 空腹と疲労感で、やっとの思いで汲んできて調理に かかる。この時すでに午後7時を過ぎていて 辺りは暗くなっていく。懐中電灯で照らして食事を摂った。

今夜のメニューはカレー二人前ずつと、玉子スープの予定だった。 が、いかんせん食欲が湧いてこない。息子も普段なら軽々と 完食するところだが、無理して口に運ぶ様子で、 二人ともそれだけ疲労がピークに達していたのだ。 玉子スープも食べるためにはもう一度水場へ汲みに行かなければ ならない。当然ながらキャンセルだった。

さて、その後テントに入ってある事件が勃発するのだが、 結果的に九死に一生を得ることになる。先にテントに入った息子 が「あー!こぼれてる!」と叫んだ。突然なんだろうと思いきや、 夜の楽しみにと思って持ってきた焼酎がひっくり返って 全部テントの中にこぼれてしまって、びしょぬれの常態だった。 ペットボトルの中身の焼酎は見る影もなく、それより びしょ濡れになった床を何度も雑巾で拭い去る作業に 追われた。

結局愉しみにしていた寝酒の焼酎が無くなり、泣く泣く 床についた。息子は疲れていたせいか、ものの数分でぐっすり 眠った。私はそれから極度の疲労のせいかなかなか寝付けなく、 今日一日の出来事が去来する。蘇ってくるのは辛い場面ばかりだ。 時には滑って転んで、時には断崖を綱渡りのように歩く 場面であったりする。なぜか充実感もなく、明日への不安の 方が多かった。そのためか益々眠れなくなった。

寝酒の焼酎があったらなー。などと思いながらそのまま 夜の静寂(しじま)は深まっていく。そうこうしているうちに なんだか息苦しくなってきた。意識も朦朧としている。 最初は疲れているせいか、と思っていたが、どうも息子の 息づかいも荒くなっている。 スヤスヤと眠っていたのがハーハー、ゼーゼーと息が荒い。

換気口も寝る前に確認しておいたはずだったか、どうやら それが甘かったらしく、酸欠常態に陥ってしまったようだった。 すぐさま換気口を全開して、テント入口にあるファスナーを 広めに開け換気した。今思えばぞっとする話で、もし焼酎を 飲んで爆睡していたとしたら、果たしてどうなっていたか 解からない。通常酸欠に陥ると息苦しくて目が覚めるというが、 普段から雷が鳴っても地震が起きても目が覚めない 私はちょっと大げさだが、九死に一生を得る思いをしたのである。 結局その夜は一睡もせずに夜を明かすことになった。

午前4時30分。長い長い夜の静寂から開放され、明け方の 東の空が薄っすらと曙色に染まり行く。標高1300mからの朝焼けは 神秘的な大自然の営みを垣間見る貴重なシーンとなって 記憶に残った。幸い、眠れなかったが横になって静かに目を 閉じているだけで、幾分か疲れも和らいでいた。さあ、気持ちを 引き締めて戦闘準備にかかる。今日一日は長丁場だ。







花之江河
花之江河(標高1600m)。日本最南端の代表的な高層湿原で、ミズゴケやヤクシマホシクサ、コケスミレ、モウセンゴケ、ヤクシマメバチソウなどが季節を彩る名勝の地でもある。